妻が妊娠した事はすぐに判明したが、
双子だという診断がついた後、
妻はしばらく僕に内緒にしていた。
僕の母も、小さな娘も、
早々に双子だということを知らされたのに、
夫である僕だけ、なぜか知らされなかった。
その理由は、
「あなたに双子だって知らせると、
あなた倒れそうだから」
良くわかってるじゃないか。
小さな娘も、
決して僕には双子だとは言わなかった。
…のだが、ある時期から、
やたらと娘が双子の話をするようになったのだ。
「ねぇ、パパ。もし赤ちゃんが双子だったら、
私はもっと料理のお手伝いするよ」
「ねぇ、パパ。もし赤ちゃんが双子だったら、
私がおもちゃで遊んであげるよ」
「ねぇ、パパ。もし赤ちゃんが双子だったら、(略」
どうして、急に娘が
双子に興味を持ち始めたのだろうと思ったが、
娘は、赤ちゃんが双子だと知っていたのだった。
双子という事実に絶望感でいっぱいで、
しばらくは空いた口が塞がらなかったが、
逆に、何かネジが外れたと言うか、
割り切れたと言うか、
天を仰ぎながら、
もうなんとでもなれと言った気持ちだった。
もはや、ビッグダディとして
生きていく覚悟を決めたのだった。
子供4人である。
何から手を付けて良いのかわからない。
車の買い替え、双子ベビーカーの購入は必須。
人手も明らかに足りなくなるので、
シッターさんか、ナニーさんか、
それとも家族の誰かに住み込みを依頼するか、
そのあたりも本気で検討しなくてはならない。
急に人生ハードモードに突入した。
せめて双子は女の子であってくれ。
男の子は手がかかりすぎる。
我が息子も、本当に元気いっぱいに泣き喚くので、
夜な夜な気が狂いそうになるのだ。
せめて女の子であってくれー!
そして、双子はふたりとも男の子だった。
男の子ーーー!!
(男の子だという診断がついた後も、
妻はしばらく僕に内緒にしていた。)