ぼくの妻は、女医

フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ

ぼくの妻は女医 ~フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ~

今のもやもやした感情の正体

家庭を上手に回せている気がせず、

妻ともなんだか歩調が合わない。

僕が現在や将来に不安を感じている時に限って、

妻は色々とうまく行っていると感じており、

僕の横でるんるんしていたりする。

なんで僕だけこんなに我慢してるんだ!と、

なんだか、もやもやしている。

(妻に言わせれば、我慢しているのは妻である)

 

麻布台ヒルズに寄った

 

そういえば自分は、祖父の生き方に憧れていた。

仕事一筋で、世界を走り回り、

いろんな業績を残して尊敬されてきた人だった。

医者になったのも、祖父の影響だし、

祖父みたいになりたいと、

幼少期から思い続けていた。

 

ただ、祖父が亡くなり、考えが変わった。

確かに祖父の生き方は格好良かったが、

意外にも祖父の死に際が、寂しそうだった。

仕事一筋だったので、家庭を顧みなかった為か、

家族に囲まれて死んだというより、

孤独に亡くなっていった様に見えた。

 

どんなに人から尊敬される生き方をしても、

最期の死に方を決定するのは、家族なんだと、

その時、痛烈に感じたし、

最期に家族に囲まれて死ぬためには、

仕事でなく家族に尽くす人生にしないといかん

と、その時初めて確信した。

 

そういうわけで、

家族第一主義の若き自分が誕生したわけだが、

実際に家庭を持ってみて、

なかなか家庭第一主義に振り切れていないことに気づく。

家庭が一番ではあるが、

キャリアも大切だし、腕も磨きたいし、

仕事を通して人脈だって広げたい。

できるなら、自分の趣味の時間も欲しい。

結局、家庭第一主義と言いつつ、

なかなか覚悟を持てず、意志がぶれているのが、

今のもやもやした感情の正体なのだと思った。

 

妻は、二兎も三兎も追うのよ!

と言ってきそうだ。

 

久しぶりの発熱祭り

定期的に来る子供たちの発熱祭り。

リレーの様に、一人ずつ感染・発症していく。

なんとなく、予兆があれば良いんだが、

今朝から急に発熱!みたいな日は、

誰かが大きな代償を払うことになる。

具体的には、僕が朝から病児シッターを総当たりし、

シッターが見つからなかった場合は、

研究や仕事に融通をつけて、

強引に終日休みとし、家で病児と過ごす。

 

一日、発熱で動作の鈍い息子と過ごした。

息子は寝ている時間も長いので、

僕は、特別やることがない。

 

本日進める予定だった研究をキャンセルし、

先輩や上司からの評価を落とし、

絶望的にやる気が起きなかったので

家事や在宅ワークが進んだわけでも無く、

こんなにも何もしない一日を過ごし、

なんだか脳みそがゆっくりと

溶けていくような感じに襲われながら

一日を過ごしてしまった。

 

妻は「ずっと息子と過ごせて、

充実した時間を過ごせたね!」

みたいな反応なので、

例によってこの僕の感情の共有が出来なかった。

 

鯵を3尾捌いた

 

大学病院で、そこまで関係の深くない先輩に、

「噂だと、常野の奥さんって、

 常野よりIF*1高いんだろ?

 すごいなー」

と言われた。

そんな噂が回っているのか…

 

*1:Impact Factor; インパクトファクター

学術雑誌の影響力を示す指標。IFの高い雑誌に論文を投稿することが、医者の一つのステータスであり、研究者として評価も上がる。異なる分野間での比較には使えない。

本日の妻からの難題

「ねぇ、私、前髪切ったんだけど!?」

と突然、妻が言ってきた。

 

はい、来ました!難題です!

言うまでもないが、

もちろん僕は髪が切られたことに気づいていない。

こういう場合、僕の返答で正解だった試しがない。

joiwife.hatenablog.jp↑参考

 

妻は、隣の部屋から叫んでいる。

幸い、僕の隣には、救世主(娘)がいる。

小声で娘に「なんて返事すれば良い!?」

と聞くと、

「すぐにかわいいね!って言うの!

 それも一番可愛い声でね!」

と言われたので、

ありったけの可愛さで、

「かわいいね!」と言った。

 

妻は「気づいてなかったでしょ!?」

と言ってきたので、

また娘に助言を求め、

「気づいていたよ!すごく可愛いよ!」

と返事をしたところ、

少しだけ妻が落ち着きを取り戻していた。

 

娘がいればなんとかなる。

娘よ、生まれてきてくれてありがとう。

 

娘が最近お祝いでもらった宝物

 

学生の頃、西暦2500年には、

日本人が10万人になると聞いて、驚愕した。

最近のデータでは695年後、

日本の子供が1人になるらしい。

www.sankei.com

大変だ…。

妻と前髪で口論してる場合じゃない…。

 

プロフェッショナルとは

外科医の場合、

高難度手術を完璧に完遂した時や、

容態の急変に対処して救命できた時や

自分にしか出来ない手技で患者を救った時など、

これはファインプレーだったなぁ

仕事を続けて来てよかったなぁ

と感じる瞬間が間々ある。

 

先日も、そんな瞬間があった。

アドレナリン全開で分泌されているので、

夜中だが眠気は感じなかった。

それでも、当直室のベッドに横になり、

しばらくぐったりとしていたら、妻から

「あなた!子供たちがたまにお風呂で使う浮き輪、

 どこにやったのよー!!」

と怒りの電話が入った。

 

……。

どぉーーーでもいいだろうそんな事!

真夜中に大事件のテンションで電話してくるな!

こっちは、生死を分ける瀬戸際にいたんだ!

と、大声で怒鳴りたい気持ちをなんとか鎮め、

一度、ふぅと呼吸を整えて、

「浮き輪は、押し入れにしまったよ」

と答えた。

妻は、しばらくやんややんや文句を言いながら、

捨て台詞を残して電話を切った。

 

年末は久しぶりに両親とじっくり話してきた

 

プロフェッショナルとは、

如何に仕事脳と家庭脳を

瞬時に切り替えられるか、で決まる。

常野健三郎

 

妻が与える夢以外のもの

僕にはレパートリーが無いので、

メイン料理の他に何を作ろうか

うーんうーんと悩んでいると、妻に

「冷蔵庫に野菜が余ってるじゃない!

 それにごまドレッシングでも

 かければ良いでしょう。

 ごまドレッシングは簡単に作れるから、

 Googleで調べて作りなさ〜い」

と言われたので、

言われるがままに動いていたら、

そこそこの晩御飯が完成した。

 

はしゃぐ可愛い子供たちを横目に、

「つくづくね、私はあなたに

 夢を与えてると思うの。あと課題。

 夢と、課題。あっはっは」

と妻が言ってきた。

 

僕も、はははと笑い返した。

(枯れた声で)

 

喉を潤す

丹下健三(僕)と、岡本太郎(妻)

「どうして君はそんなにも変わってしまったんだ」

と妻へ嘆く一方で、妻は、

「どうしてあなたはいつまでも変わらないのよ」

と僕に嘆いてくる。

 

ふと、

芸術は爆発だと言って、一瞬の美を追い求めた岡本太郎と、

完璧な構造設計と、永遠の美を追い求めた丹下健三を思い出した。

岡本太郎は、進歩と調和なんてクソ食らえだと言い、

丹下健三の完璧な大屋根に、大きな穴を開けた。

大阪万博における、有名な話だ。

 

僕も、妻に毎日大穴を開けられている気がする。

その大穴から、妻の顔がニョキッと生えている気がするんだ。

 

三重のとある高架下で

これは丹下健三とは関係ないが、

美しい高架下だったので一枚

 

年末年始夫婦戦争

年末年始は、自分には解せない理由で、

妻の機嫌が非常に悪かったわけだが、

もちろん僕としては、

お互いが、お互いの思いや、

言い分をちゃんと伝え合って、

なんらかの解決策を見つけたいところだ。

 

妻もヤケクソになって、

ここでは書けないような暴言を吐き、

理解不能な暴挙に出ていたので、

それらを整理しないと、

我々夫婦は前に進めない。

やはり、議論の場を設けないとならぬ。

 

しかし、議論を嫌う妻をどう説得し、

誘導してゆくかが難しいところで、

しばらく悩んでいたところ、

スマホに妻からのメッセージが届いた。

 

 わたしの機嫌天気予報

 しばらく機嫌良い

 

どうやら、周期的な体調の回復と、

睡眠不足解消がその理由だそうだ。

そういえば、ここ最近、

定期的に飲んでいる薬が体に合わず、

休薬していた事を思い出した。

確かに、ここしばらく、夜中に職場に行って、

やり残した仕事をこなしていたこともあった。

それらが重なっての不機嫌だったのか。

 

まるで、年末年始夫婦戦争など

無かったかのように、

平常通り、子供たちの写真が送られ、

消耗品買ってくるリストが送られてくる。

私はもう自分の気持ちに整理は付いたし、

特に話し合う必要はないですので、

また今まで通りよろしくね

とも言わんばかりの雰囲気である。

 

思い出せば、過去の夫婦戦争時も、

同じような経緯で、自然終戦していた。

今回も、このまま終戦しそうである。

 

果たして、これで良いのだろうか…。

なんだか僕にはとても納得出来ないのだが、

何かで見た、誰かの父親の言葉を思い出した。

 

I'm going to marry her.

> Tell me you're sorry.

What? No, I didn't do anything. I'm not saying sorry.

> Until you can say you're sorry for no reason at all, you're not ready.

 

www.tiktok.com

 

♪ 人生のメリーゴーランド

 

妻は帰阪すると性格が悪くなる

年末は、妻のホーム 大阪に

例によって車で大移動し、

年越しも大阪で過ごす事になった。

 

joiwife.hatenablog.jpちなみに去年の大移動はこちら参照

 

いつものように暖かく迎えられ、

おもてなし頂きありがたかったのだが、

常々思っていたことが一つはっきりした。

妻は帰阪すると性格が悪くなる。

 

まぁ、その理由は推察できる。

論理的かつ理性的に説明するのが苦手で、

自分の感性のままに行動する感情主義の妻も、

ご実家ではなんの気遣いもせず、

努力せずに良好なコミュニケーションが取れ、

思うように周囲の人間も動いてくれる。

 

それに対して、僕はどうだ。

 

「あなた、床!」と言えば、

「? 床がどうしたの?」と言われる。

子供たちが床で遊んでいるんだから、

あなたも床に座って子供の目線で遊べって事よ!

どうしてここまで言わないとわからないのよ!

私の家族はすぐに察してくれるわよ!

考えればわかるでしょう!

人の気持ちがわからないなんて最低!!

きぃー!!

 

こういう事である。

 

実際、妻のご家族は、

楽しそうに会話が進みつつも、

見事な一体感で、

それはまるで一つの生命体のように

何かしらの目的に向かって行動している。

しかしその行動や目的に、なんの説明もないので、

僕には何故こんな行動をしているのか、

これから何をしようとしているのかが

さっぱりわからないのである。

そして、さっぱりわからないから、

僕自身何をして良いのかわからず途方に暮れ、

なんとなく居心地の悪さを感じながら、

皆様の邪魔にならないように息を潜めている。

そんな僕を見て、皆やれやれという感情を

抱いていたに違いない。

 

会話の様子一つとっても、

我が実家と根本から異なっている。

 

僕や、両親、妹は、言葉が長い。

それは仕方のないことである。

なぜなら、過去を振り返り、現在を紐解き、

自分の意見を総括しつつ未来を語るには、

必然的に文字数が増えるからである。

同じ家族であろうとも、

相手の考えを理解するには時間がかかるので、

傾聴にかける時間だって長くなる。

 

対して、妻サイドはどうだろう。

過去は語らない、未来も語らない。

語るのはまさに今現在、

この楽しいひと時に関してのみだ。

だって、今は家族と過ごす貴重な時間。

今のこの感情を楽しむのが正義やねん!

とするなら、長い言葉は不要だ。

そのため、会話がピンボールのようだ。

パンパンと、言葉が短距離を猛スピードで行き交う。

あ、今の会話に入りたいから

僕のこの話をしてみようかなんて思っても、

時すでに遅し、会話の内容は

すでに次へと進んでしまっているのだ。

 

さて、こうした文化の違いは、

どちらが正しいということはなく、

お互いが寛容になって、

理解し受容するしかないわけだが、

僕が許せなかったのはただ一点、

妻の会話拒否的な態度である。

 

妻の行動も、ご家族の行動も、

そして本音ではどう思っているのかも、

僕にはさっぱり理解出来ないので、

「こうして良い?」

などと、最低限聞いているのだが、

例えば「いいよ」と言われたときの解釈が難しい。

 

本当に、いいよと思っている可能性もあるし、

いいわけないだろうふざけるな

という感情が背景にある投げやりないいよ

の可能性もある。

本当に考えても考えてもわからないのだ。

 

そして、終いには僕の家族にまで相談し、

熟考を重ねたうえで、

きっと本心ではこう思っているに違いない

きっとこうしてあげる事が妻の幸せなんだ

と思って行動するわけだが、

見事に全て不正解であった。

 

そして、不正解だった時の、

妻と、そして妻を囲む親衛隊たちの、

冷ややかな雰囲気が、

とても僕には耐えられなかった。

(大阪特有の、表面上は冷たいが、

 実際にはそんなに気にしていない可能性もあるが、

 少なくとも妻に関しては根に持っている)

 

そんな完全アウェイで、

なんとか数日間過ごし、

無事に本拠地へと帰還した現在、

改めてはっきり言いたいのは、

妻は帰阪すると性格が悪くなる

ということだ。

 

こちらは、異なる文化同士、

少しでも気持ちを理解しようと

会話による歩み寄りを試みているのに、

妻はと言えば、

「これくらいのこと、

 聞かなくても考えればわかるでしょう。

 人の気持がわからない人なんだね、

 じゃぁ何を言っても無駄です、

 あなたとはコミュニケーションしません」

と、コミュニケーションのシャッターを

バチンと下ろしてしまったわけで、

これは、歩み寄りの真摯な姿勢が足りないと

言わざるを得ないだろう!

 

そんなわけで、せっかくの年末年始、

冷戦状態がしばらく続いていたわけだが、

先ほど、妻からメッセージが届いた。

 

 わたしの機嫌天気予報

 しばらく機嫌良い

 

どういう事だ!?

 

ひらかたパーク

スナップ写真から考察する夫婦愛と、実際

先日の忘年会で、

「4人もいる子供の写真見せて」と

同期の一人に言われた。

何枚か見せていたら、

子供の写真をしゃがんで撮る僕と妻を

背後から写した写真が出てきた。

 

「常野くん、この写真だけど、

 奥さんが自分の手を、

 そっと君の背中に回しているでしょう。

 きっと、これが愛情なんだと思うな」

と言われた。

妻の手が僕の背中に回っているなんて、

指摘されるまで気づかなかった。

さすが、気の利く女医はすごいところに気がつく。

 

しばらくその言葉が頭に残っており、

翌朝、妻に「この写真、愛情なのかい?」

と我慢出来ずに伝えたら、

「これは体重を支えてるだけだね」

と言われた。

 

眠らない街

忘年会で息を吹き返した金魚(子犬)

研修医時代の同期たちと、六本木で忘年会をしてきた。

相変わらずコミュニケーション能力が高い

コミュ力おばけたちに囲まれて、

僕はただ口をパクパクする金魚のようだったが、

美味しいワインとお肉を頂き、

皆の近況も聞けて、とても楽しかった。

幹事さんありがとうございました。

 

1秒間に100文字くらい喋る救急医の女医に、

我が家の今後かかる支出を試算され、

「常野くんは、この先自分一人の稼ぎでは

 家庭が回らなくなる日が来て、

 その時に奥さんと話し合う日が、

 また一つ山を超える日になるわね」

みたいなことを言われ、怯えた。

 

同期の皆は、僕の妻のことを良く知っており、

最近の我が家の近況を話していたら、

周りに座っていた女医たちに、

「うんうん、わかるよわかるよ、

 常野くん頑張ってるの知ってるよ」

と子犬のように甘やかされた。

沁みる…。毎日忘年会して欲しい…。

エネルギーを補充できたので、

またしばらく頑張れそう。

 

オーク ドア

 

1次会が終わり、

中庭のクリスマスツリー前で、女医たちが

女だけで写真を撮ってくれと言うので、

写真を撮ったものの、逆光で顔が真っ暗だった。

続けて、男だけで写真を撮ろうとしたところ、

すかさず、女医たちが揃って

ライトで僕達の顔を照らし、

見事に映える写真を撮ってくれた。

なんだか、男の無能さを感じた一瞬であった。

 

joiwife.hatenablog.jp

そういえば前回も六本木だった。

 

クリスマスプレゼントを探し求めて

娘が、「サンタさんにね、自転車を頼むの」

と言い始めた。クリスマス直前に。

 

慌てて都内の自転車屋に在庫を確認するが、

子供用の自転車って、

思いの外手に入れるのが大変。

在庫はなんとか見つかるんだが、

クリスマスまでのお渡しは無理ですと

門前払いされること数件。

ようやく、車で1時間半の距離にある店舗を発見し、

間に合わせることが出来た。

 

研究室で慌てている僕を見かねて、

スタッフのみなさんが

一緒になって探してくれたのもありがたかったし、

親切に対応してくれた店員さんにも感謝。

ありがとうございました。

 

グランドハイアットにて

 

誤解のないように追記するが、

もちろん自転車は僕が買ったわけではなく、

これをよろしくお願いしますと

サンタさんにお願いするために

確認のために店舗まで足を運んだのであって、

泣きながら大金をカードで支払ったり、

肩を負傷しながら自転車を車に詰め込んだり、

そんなことはもちろんしていない。

いたたたた…

 

妻と看護師、どちらを信じるか

看護師さんに、

先生みたいな方と結婚して奥様は幸せですね

と言われたので、「そうだろう、そうだろう」と満足し、

妻にそれを伝えたら、

「あのねぇ、そんなのリップサービス

 決まっているでしょう。

 どこにそんな言葉信じる男がいるのよ」

と厳しい言葉をもらった。

 

妻を信じれば良いのか、

看護師さんを信じれば良いのか。

僕は、今大きな選択を迫られている。

 

ヒレにするかロースにするか悩む年齢になった

 

看護師さんを信じようと思う。

 

妻の目と口は繋がっている

妻と二人で、保育園帰りの道を歩いていた。

風が冷たくなってきた。

空気が澄んでいるので、

都営住宅の一室からリンリンというベルの音が

良く聞こえる。

どこからか、もみじの葉が飛んできた。

 

普通の人は、この冬の一瞬の情景を、

いちいち口にしたりしないが、妻は、

 

「ひゃー、寒い寒い。あれ?

 この音は電話かな?目覚まし時計かな?

 今起きたのかな。

 あ、もみじ、もみじってあれね、

 葉は5つじゃなくて7つに別れてるんだよ知ってた?

 あ!あそこに見える…(以下略)」

 

と言った具合に、

目に入るもの全てを

何の考察もせず口にするクセがある。

脊髄反射で喋ってるのかな。

 

「目に見えたものを口にしないと気がすまないのか」

と妻に言ったら、妻はいつものように笑っていたが、

僕にはなぜ笑っているのか、

相変わらずよくわからなかった。

 

12月の昭和記念公園

風立ちぬ菜穂子と、我が妻との比較検討

ジブリ映画 風立ちぬ('13)は、

僕の中では、映画 もののけ姫('97)と並ぶお気に入り映画だ。

評価が分かれる映画ではあったが、

もののけ姫に匹敵する大作であると思っている。

 

しかし、もののけ姫の脚本が、

多層的で壮大なテーマを扱い、

複雑で奥深さを持ったキャラクターが

多数登場する一方で、

風立ちぬのテーマは比較的わかりやすく、

一見するとキャラクターも捕まえやすい。

あえて主人公が魅力的に映らないよう

工夫されているシーンもあるほどで、

他のジブリ映画とは少し毛色が違うように思う。

風立ちぬは、実在の人物がモチーフになっており、

ある程度のリアリズムを追求した結果なのだろうか。

 

そんな風立ちぬで、ひときわ目立つのが、

主人公堀越二郎の妻、そしてヒロインでもある、

里見菜穂子だ。

 

www.ghibli.jp

不治の病を患いながら、

妻として堀越二郎に尽くす姿は、

とても心打たれる。

線が細く、か弱く、美しい。

夫をすべて受け入れる姿は、

これが大正・昭和の女性の美しさなのか

と、当初はため息が出たほどだった。

(本当か?詳細は後述)

 

そして、僕は

菜穂子さんのような女性と結婚するんだ

と、心に決めたのであった。

 

その後、本当に僕は、

自分の菜穂子さんを見つけ、

結婚することが出来た!

めでたしめでたしである。

 

しかし、結婚して数年経って気付いた。

妻は、菜穂子さんではない…。

僕の隣にいたはずの菜穂子さんはどこへ行った。

「二郎さん。今日はお仕事どうでした?」

なんて聞いてくれる妻はおらず、

「いったい、こんな時間まで何してたのよー!」

「早くご飯つくりなさいよー!!」

などと騒ぐ妻が眼の前にいる。

 

しかし、公開から11年が経ち、

改めてこの映画を見直してみると、

少し菜穂子さんのイメージが変わっていた。

すなわち、二郎さんにただ付いていく

主体性の無い女性ではなく、

自分自身で愛する人を世話したい

仕事の成果に直結するサポートをしたい

という強い主体性・主張を持った女性であった。

映画ではその我の強さが

映画の随所にうまく表現されており、

それがまたこの映画の面白さに繋がっている。

 

二郎と菜穂子さんの間には、結局子供はできなかったが、

おそらく二人に子供ができたとしたら、

菜穂子さんも、妻の様になるんだろうなぁ

と思うと、菜穂子さんに見ていた夢から

目が覚めた気がした。

 

ふふ奈良

いつかの、ふふ奈良にて

 

頑張ったのはパパです

小学校受験はセンシティブな話題なので、

誰がお受験をしてて、どこに合格したのかというのは、

結果が出るまでわからないことが多いが、

ポツリポツリと何人かの情報が入ってきた。

皆、素敵な小学校に合格している。

大変だっただろう、お疲れ様でした。

 

我が娘の合格を知ったママさんからは、

「よく、子供4人も育てながら受験できましたね」

と驚かれることが多い。

そうさ、大変だった。

ただ、なんとなく、その言葉には、

「お母さんがメインで頑張ったんでしょう?」

と言うニュアンスを感じる。

 

違うぞ、僕が(も)頑張ったんだ、

僕がエントリーして、説明会に行き、

願書だって全部書いたんだぞ!

と、心のなかで叫びながら、

「ええ、妻は頑張ってくれました。妻に感謝です」

という顔をして、会話を続ける。

ふっ、貫禄を見せてやるわい。

 

御殿場アウトレット