ぼくの妻は、女医

フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ

ぼくの妻は女医 ~フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ~

医者を辞めると伝えた時の、妻の反応

まだ外科医駆け出しで、

朝6時から夜11時まで働き続ける生活を

365日続けていた頃、

ひどい上司のパワハラと暴力で

ついに精神が崩れてしまったことがあった。

(その上司は、その後も問題を起こし続け、

 結局医局を辞めたが、

 たくさん手術を教えてくれた点は感謝している)

 

いよいよ、精神も身体も限界が来て、

「あ、もう医者続けられないな、辞めるな」

となり、気づいたら仕事を放棄して、

ボロボロの状態で家に帰っていた。

 

家に帰ったのは昼過ぎだったが、

家にはたまたま妻が居て、

「あれ?どうしたの?」

と聞かれたので、絞り出す様に

「いや、もう医者やめるかも」

と一言だけ伝えた。

 

そうしたら、妻は考えるまもなく、

「あら、やめるの?じゃぁご飯行こうよ!」

「それとも映画でも観に行く?」

「ゆっくり出来る時間が出来てよかったね〜」

と、るんるんしていた。

 

普通、

「は?何があったの?」

「どうして辞めるの?」

「これから生活はどうなるの?」

と聞くものだと思うが、妻は一切聞かず、

一緒に過ごせる時間が増えることを喜んでいたのだ。

 

さすがに、

「え?理由を聞かないの?今後の生活とか…」

と聞き返すと、妻は

「お金は、私が仕事増やせば良いんじゃない?」

と言いながら、外出する準備をしていた。

 

この一件は、自分にとってはかなり衝撃的な一件だった。

妻なりに気を遣った言動だったと思うが、

こんな見事に事情をスルー出来る性格にも、

僕が考えているよりも状況を暗く考えない事にも、

驚きを隠せなかったし、

この妻の対応は、

僕にとってはとても気が楽になるものだった。

 

これ以降、

妻とはうまく行かないことも山のようにあり、

今までブログに書き連ねてきたように、

酷いことも散々されてきたが(笑)、

どこかでこの日の妻を思い出して、

妻に感謝していたような気もする。

 

 

今回、本当に久しぶりに、

仕事のことで大きな悩みのタネが出来た。

妻はなんだか僕の不穏な空気を感じ取ったようで、

珍しく僕の話を丁寧に聞いてくれ、

「研究辞めちゃえば?」とか

「その人訴えちゃえば?」などと、

あなたが思っているよりも深刻な話ではないよ

とでも言わんばかりの

軽やかなアドバイスをくれた。

 

こんな妻のおかげで、

僕は今回も前に進めそうな気がするよ。

ありがとう。

 

妻とランチ

妻とランチにハンバーグを