妻の調子が良い。
毎日3時間毎に搾乳して、
毎日病院に通わなければならないのに、
とても明るく、元気だ。
日に日に体力は回復してきている。
そしていつにもまして、機嫌が良い。
双子たちが退院すると、子供が一気に4人となり、
どんな過酷な生活が待ち受けているかもわからないのに
とても機嫌が良い。
「はやく双子が退院しないかなぁ〜るんるん」
と口に出しているくらい機嫌が良い。
僕がエクセルデータで所有している
「妻の機嫌データベース」によると、
ここ数ヶ月は不機嫌の頻度が極めて少ない。
何故だろうか。
以前、妻が不機嫌になるのには、
何かしらの外的要因が絡んでいると推測し、
データとしてまとめ解析しようと試みていた。
例えば、
生理周期によって不機嫌になる、とか
子供の体調によって不機嫌になる、とか
実は月の満ち欠けで不機嫌になる、とか。
夫の行動で不機嫌になるんだよ!
という意見は受け付けません。
だって、僕は何一つ悪くないもの。
(注:この発言は妻には禁句である)
(注:これを、自分は悪くない症候群という)
そろそろデータも溜まってきたので、
多変量解析でもしてみようかと思っていたが、
どうも、最近の妻を見ていて思うことがある。
それは、
① 夫が家にいる頻度が多ければ、妻の機嫌が良い
② 妻が仕事をしなければ、妻の機嫌が良い
という2つの新しい仮説だ。
まず、①だが、
最近僕はとにかく仕事をしていない。
理解ある上司や、後輩に支えられ、
「今は仕事に来ないで良いぞ」
なんて声をかけて頂き、
その言葉に存分に甘えさせて頂いている。
当直の頻度を減らし、研究はもっぱら止めており、
しょっちゅう、家に帰っている。
たまに、妻とランチに行く時間も出来た。
すると、どうだ。
「あなた仕事しなさいよ!」
と妻に言われるのが普通だと思うが、
我が妻の場合、
「今日も家に居てくれるの?やったー」
などと、喜んでくれる。
経済的な心配や、キャリアの心配をしている僕をよそに、
妻は大喜びしているのである。
僕の心配などかき消されてしまうくらい喜ぶ。
鬱陶しい夫が家に居なくて清々するわ
なんて発言が標準的と思うが、
こんなダメダメな僕ですら、
家に居てくれた方が喜ばれるというのは、
これは少し嬉しいところである。
次に、②だが、
妻はとにかく仕事を生きがいにしている。
生きがいというより執着しているようにも見える。
その理由は、
妻の幼少期の経験が背景にあるだろう。
妻の母(義母)は、
妻よりもさらに仕事熱心で精力的な人だ。
ご年齢を重ねるごとに、活動的になっており、
未だに新たな挑戦をするエネルギーをお持ちで
大変尊敬している。
その義母は、妻を育てる間は
仕事から離れて育児に専念されていたそうだが、
その間は、大好きな仕事をすることが出来ず、
妻曰く、輝きを失っているように見えたそうだ。
「だから、私は子供のためにも、仕事をするの」
と妻が発言するのには、こういった理由がある。
僕も長い間、この妻の価値観は尊重してきたわけだが、
しかしである、実際はどうだろうか。
妻は本心で仕事をしたいと思っているが、
本当にそれが妻にとって最善の生き方なのだろうか。
振り返ると、今まで妻は産休中、
(産休は最短期間しか取得してこなかったが)
とても機嫌良く過ごしていた。
妻の仕事は、職業上そこそこストレスのかかるものだが、
そのストレスから離れることで、
とても余裕を持った毎日を過ごしていた。
食事を作って、家事をして、ゆっくり風呂に入り、
家族にたっぷり時間を使うことが出来た。
僕が仕事へ向かう際も、わざわざ玄関まで来て
「いってらっしゃい、気をつけてね」
と言ってくれる。
それはそれは、とても穏やかな時間で、
僕もとても幸せになれるのだ。
今回の出産も、そうである。
今回、妻は長期入院やハイリスク出産を通して、
半年以上の育休を取得する予定である。
これだけ長期間、仕事から離れるのは初めてである。
さぁ、妻の機嫌はどうなるのか。
①②の仮説は立証できるか。
記録を続けていきたい。