ぼくの妻は、女医

フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ

ぼくの妻は女医 ~フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ~

3年間も妊娠していた妻

そんなこんなで、献身的な僕の介護により

妻は驚異的な速さで回復していき、

少しずつ出来ることが増えてきて、

階段の上り下りくらいなら

気にならない程度まで復活した。

 

体力の回復とともに、

口調も、いつもの妻に戻ってきた。

いつもの妻というのは、

結婚前の穏やかで優しく聞き上手な妻ではなく、

結婚後の激しく批判的で僕の話など聞かない方の妻である。

 

いつもの様に、朝支度をしていると、

サイズの合ってない靴下を履かせるなとか

昨日のタオルが洗濯機に入っていないだとか

保育園の袋を家に持って帰ってくるなとか

もう、細かいことでうるさくて仕方ない。

 

妻が入院中なのを良いことに、

台所の不要なものは処分して、

子供たちの大量のおもちゃも

不要なものはこっそり処分したんだが、

それに関してもほにゃらら言ってくる。

 

……。

妻が居ないほうが静かであった。

 

お台場より

 

ただ、妻は元気になるにつれ、

妊娠中は出来なかった家事が出来るようになり、

今まで僕の仕事だった家事が、

気づいたら終わっているという

感動的な事態が頻発するようになった。

例えば、食器が洗われていたり、

シンクの掃除がされていたり、

夕飯が出来上がっていたり、

他の家ではあたりまえかもしれないが、

毎回、それが感動的だった。

 

振り返ってみると、

妻は3年間くらい、ずっと妊娠していた。

妊娠中という最強の武器を持っていたので、

前かがみになるような家事は堂々としなかったし、

その分は僕が代わりにやっていたわけだが、

3年ぶりに、妻が非妊婦となり、

しかも産後休で家にいるので、

普通の専業主婦的な状態になり、

なんだか普通の家族みたいになった気がして、

感動的だった。

 

そして、妻の家事にちゃんと感謝して、

感謝の気持ちを伝えられるようになった。

感謝の気持ちを伝えましょうって本にも書いてあるけど、

こういう事だったななぁ。

 

というわけで、妻に、

「今の君はとても輝いているよ。

 きっと、この生活が向いているんだと思う。

 仕事辞めて、家庭に入ったらどうかな」

と丁寧に提案したところ、

「私は仕事で輝くの」

の一言で一蹴された。

 

妻の専業主婦化計画は、まだ続く。