ぼくの妻は、女医

フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ

ぼくの妻は女医 ~フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ~

子なし夫婦と、現場のリアル

郊外のバイト先での話だが、

このバイト先の病院は、設備的な問題で、

新型コロナ感染症の患者を受け入れ出来ない。

 

発熱と体動困難を主訴に、

半ば強制的に搬送された患者が、

やはりコロナに感染していたので、

事前の通告通り、自宅での経過観察か、

他院への転院搬送を提示した。

ただ、田舎なので、

現実的には転院搬送先なんてほぼ存在しない。

 

結局本人の希望も考慮して

自宅での経過観察となったが、

子なしの老夫婦で、親戚もおらず、

家に帰る足が無いという事態に

困り果てた事があった。

そもそも、体動困難となっているのに、

自宅に返すっていう選択肢を取った事にも

強いもどかしさを感じた。

なんとか車を手配し、

後部座席に押し込み、自宅に返した。

悪いことをした気になった。

 

ただ、こういう状況は、

超少子高齢社会に歯止めがかからない今、

この先爆発的に増えていくのは間違いなく、

この厭世感に看護師と絶望した。

 

選択的子なしを選ぶ人が周りにも増えている。

「老後なにかあれば、誰にも迷惑をかけず

 貯めたお金で施設に入る」

と言った意見を彼らからよく聞くが、

少子化は進行するので、

そもそもお金があっても

老後施設に入るのは難しくなるし、

自分の子には頼らないが、

他人の子には頼るという考えが

通用する世の中ではなくなっていくだろう。

 

現場で自分には何が出来るだろうかと悩む毎日。

そんな事今悩んでも仕方ないでしょう、

それよりも早く保育園の支度しなさいよ

と怒られる毎日。

 

ラーメンフェスでの一杯