外科の同期に、とんでもなく優秀な男がいる。
自他ともに認める聡明な男で、
性格もよく、しかもイケメンである。
教授からも一目置かれる存在で、
将来の教授就任は約束されている奴だ。
彼とは、たまに昼飯を一緒に食べる関係なんだが、
はっきり言って、会話の次元がまるで違う。
彼が話す事はとても面白く、
現在彼が進めている遺伝子治療の話であったり、
その研究で数千万円の資金調達した話であったり、
研究の成果発表で最優秀賞を取った話であったり、
近々アメリカに留学する話だったり、
とにかく世界を相手に、
医療の最先端を走っている人間なのだから、
話は面白いに決まっている。
それに対して僕はといえば、
昨日も妻の機嫌が悪かっただとか、
息子が朝から騒がしくて困るだとか、
なんだかしょうもない事ばかり話すので、
彼は「ああ…、そうなんだ」
くらいの反応はしてくれるが、
全く興味を示していないことは明白なので、
僕もすぐに話を切り上げてしまうのであった。
そんな彼が、最近結婚した。
お相手はとても綺麗な女医さんで、
しばらくして元気な男の子も生まれた。
すると、どうだろう。
なんと、この超優秀な男が、
真剣に僕に相談してくるのである。
「妻の、機嫌が悪いんだ」
「洗濯物のたたみ方が違うだけで怒られる」
「家に帰らないことで責められる」
「女子会の後は、特に機嫌が悪い」
「俺の母親の悪口を言い続けている」
などなど、僕への相談が、
もう止まらないのである。
さて、これらの相談に対して、
僕のアドバイスは、簡潔で正確で的確である。
今彼がいる悩みのフェーズも把握できるし、
今後、彼の奥さんがどのような変貌を遂げるのかも
予想でき、対策を提案することができる。
なぜなら、すべては僕がすでに通ってきた道だからである!!
そんなわけで、
彼の努力や苦悩を良く理解したうえで
彼にいくつかのアドバイスをしたところ、
彼は「さすが、大先輩の言うことは説得力がある」
と大変感謝してくれたのである。
日本の未来を担うこの超優秀な男と、
対等に喋ることが出来るようになった
と、しばらく僕は勘違いしていたが、
冷静に考えてみると…、
いや、冷静に考えるのはやめにしよう。

妻のモノマネをする夫たちの動画を見つけた。
なんというクオリティの高さ!
僕も参加したい。