ことごとく妻とは会話が成立せず、
あらゆる価値観も共有できず、
それでいて、僕を否定し続けてくるものだから、
だんだん、おかしいのは妻ではなく、
自分なのではないかと思ってきた。
そんな話をしていたところ、
「不思議の国のアリスにいるようだね」
と、とある人に言われた。
それが妙にしっくりきた。
いかれ帽子屋と三月うさぎが主催する
気違いのお茶会の様子が、頭に浮かんだ。
彼らは何か危害を加えてくるわけでは無いが、
永遠に誕生日じゃない日を祝い続け、
どうして誕生日じゃないのにお祝いするの?
と質問するアリスを、変な人だねと嘲笑する。
そして、ほとんどの会話には意味がないのに、
本人たちの間では会話が成立しているという狂気。
最終的にアリスは夢から目が覚めて物語が終わる。
そこが僕とアリスの違いである。
ちなみに、
アリスと、いかれ帽子屋たちの対比も興味深いが、
ルイス・キャロルと、
チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンの対比も、面白い。