外科医の場合、
高難度手術を完璧に完遂した時や、
容態の急変に対処して救命できた時や、
自分にしか出来ない手技で患者を救った時など、
これはファインプレーだったなぁ
仕事を続けて来てよかったなぁ
と感じる瞬間が間々ある。
先日も、そんな瞬間があった。
アドレナリン全開で分泌されているので、
夜中だが眠気は感じなかった。
それでも、当直室のベッドに横になり、
しばらくぐったりとしていたら、妻から
「あなた!子供たちがたまにお風呂で使う浮き輪、
どこにやったのよー!!」
と怒りの電話が入った。
……。
どぉーーーでもいいだろうそんな事!
真夜中に大事件のテンションで電話してくるな!
こっちは、生死を分ける瀬戸際にいたんだ!
と、大声で怒鳴りたい気持ちをなんとか鎮め、
一度、ふぅと呼吸を整えて、
「浮き輪は、押し入れにしまったよ」
と答えた。
妻は、しばらくやんややんや文句を言いながら、
捨て台詞を残して電話を切った。

プロフェッショナルとは、
如何に仕事脳と家庭脳を
瞬時に切り替えられるか、で決まる。
常野健三郎