妻の親族に不幸があり、
僕も子供たちを連れて上阪する予定だったが、
下の子がそろって熱発した為に、
やむを得ず東京でお留守番する事になった。
血の繋がりのない僕にも
大変良くしてくれた方だったので、
お別れに立ち会いたかった。
残念だった。
上の子達や妻がいない家は静かだ。
時間の流れがゆっくりである。
これをチャンスとばかりに、
子供たちに食事を食べさせたあとは、
アイスカフェラテを淹れて、
ゆっくり自分の朝食の時間を過ごした。
久しぶりに丁寧な生活が送れた気がする。
さて、あとは皆が帰るまでに、
掃除、洗濯、食器洗い、片付けなど一通りやり、
皆が過ごしやすい環境にしておこう。
頼まれていた妻のクリーニングも出しておこう。
翌日、妻が上の子達を連れて帰宅した。
大変お疲れの様子だったが、
きれいになった部屋を見て、
発狂している。
あれはどこやったの!とか
これはどこにしまったの!とか
いつもの事である。
もちろん、
文房具は文具入れに入れるし、
洋服はクローゼットに入れるし、
書類はファイリングしてしまっている。
あるべき場所に戻しただけで、
そんなの当たり前のことだろう。
全く片付けが出来ず、
すべての物を無秩序に
床や食卓に山積みにする方が
間違っているだろう。
それに、一定の頻度で
僕が片付けや整理をしているから、
家の秩序がなんとか保たれているのは事実だろう。
(妻もその事実は頭では理解している)
しかし、ここまでは想定内であったが、
妻が僕に聞こえるか聞こえないかの距離で、
「本当に、家に帰らないで良い!
お金だけ入れてれば良いのよ!」
と言い放っているのが、
運悪く聞こえてしまった。
これには、反射的に怒りが込み上げ、
怒り心頭に「今なんて言った!?」
と詰め寄ったところ、
妻も妻でさすがに言い過ぎたと思ったのか、
反射的に「ごめんなさい」と謝罪してきた。
僕は当直の仕事が入っていたので、
すぐに家を出たものの、
今でも怒りが収まらず、悲しみも湧いてきた。
家族の為に行動した結果が、これか。
妻を帰阪させる為に、仕事の調整をするのが
どれだけ大変だったと思ってるんだ。
しかも、あの妻の「ごめんなさい」は、
あくまでも脊髄反射の謝罪なので、
本心ではやはり家に帰って欲しくないと
思ってるんだろうか。
やるせない!
今までもこうした言葉が原因で
何度も喧嘩はしてきており、
その都度、長い時間が記憶を薄めてくれていたが、
こういう事が何度も重なって、
夫婦愛の形が変わってゆくのかと思う。
こういう小さな傷で、
どんどん傷が深くなっていくのか、
それとも角の取れた丸い石ころに変わっていくのか、
なかったことにして、
普段通り過ごすことが大人の対応だろう。
でも、知らん。
飲み歩いてやる。
僕が時間をかけて整理整頓した部屋を
好きなだけ荒らすが良い。