ぼくの妻は、女医

フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ

ぼくの妻は女医 ~フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ~

妊娠10週での稽留流産① ~診断に至った経緯~

誰も知らないこの自己満足ブログに、

壮絶な流産の記録を残す予定は無かったんだが、

妻がこの経験は発信すべきだと強く言うので、

記録として残すことにする。

同じような状況におかれた夫婦にとって、

いつかどこかで参考になってくれれば嬉しい。

 

いきなりだが、伝えたい事は以下に尽きる。

精神ケアよりもやるべきことがある

すなわち、出血に備えよ、である。

 

流産についての概要は以下を参照

流産・切迫流産|公益社団法人 日本産科婦人科学会

 

稽留流産判明

妻が3人目の赤子を妊娠していた。

しかし、出血と腹痛を契機に、

妊娠10週で稽留流産が判明。

正確には、妊娠9週での胎児死亡で、

判明したのが妊娠10週であった。

ちなみに,調べてみると、

妊娠9週は魔の9週とも呼ばれており、

以下のサイトにわかりやすくまとめられている。

9週の壁!心拍確認後の心拍停止…「魔の9週」はなぜ流産の壁なのか [妊娠初期] All About

 

まず、1日目

外勤先での仕事中、朝6時、

妻から出血と腹痛が出現したとの連絡が入った。

上司に報告し、手術をすべて先輩と後輩に任せ、

半休を貰って帰宅した。

(中には理解の無いスタッフもいるが、

 男性外科医のこの急な休みの申し出に

 快く対応してくれる環境には本当に感謝している。

 なかなかこういう環境は多くない。)

 

僕の帰宅中、

妻は自分の勤務先の産婦人科を受診し、

稽留流産の診断を受けることとなる。

対応した産科の医師はレジデント(後期研修医)で、

妻はスタッフなので、

まぁレジデントはやりづらかったと思う。

 

稽留流産の原因は母体側には無く、

胎児側の染色異常のことがほとんどだ。

妻も医師なので当然理解しているわけだが、

それでも自然と

「あの時、動きすぎたのが悪かったかなぁ」

なんて発言をしてしまう。

「いえ、お母さんは悪く有りませんっ!」

と、今まで慎重に発言を選んでいたレジデントが

反射的に反応したのは、

やはり自分を責める女性が多いからでしょう。

 

その後、僕も合流し、

近所のかかりつけの産科クリニックで、

改めて稽留流産の診断を受ける。

丁寧に優しい言葉でお話しいただき安心できた。

で、そのときに言われたのは

自然流産の待機を選択するなら痛みに備えよ、と。

体長20mmの胎児が子宮頚部を通過する際、

子宮頸部は出産に備えて開大していないので、

救急車を呼ぼうか悩むほどの痛みを経験すると。

 

ということで、

僕はとりあえず自宅に転がっていた

ロキソニンカロナールの錠剤をかき集めて、

いつ起こるか不明な自然流産に備えていた。

 

しかし、この心構えは、

全くもって的外れであったことが、後に判明する

 

流産の診断が付いた時の精神状態

ところで、流産が決まって感じたことだが、

当然、お互いにある程度のショックは受けた。

僕は「現状、3人目は無理だよー!」

なんて叫び続けていたが、

本心では子沢山に憧れていたし、

第3子を意識した次の自動車を探していたし、

新しい家族に向けて、心の準備は整っていた。

それだけに、わりと凹んでしまったが、

そんな僕を見て、妻は「私よりも凹んでいる」

と思っていたようだ。

 

そして、そのショック以上に、

今後何が起きるのか心配だった。

お互いに一般的な医学知識はある一方で、

産科の知識は研修医レベルだったので、

インターネット等を駆使して調べるわけだが、

意外にも稽留流産に関する具体的なエピソードは

なかなか見つけることが出来ない。

教科書的な知識以上の情報が入ってこない。

 

まぁとにかく痛いんだろうな

といった漠然とした知識のみで、

いつくるかもわからない自然流産を

自宅で待っているわけである。

 

いつなのかがわからない以上、

妻も仕事を休むわけにもいかず、

不安な毎日が始まろうとしていたのである。

 

以上が、1日目の記録である。

 

つづく。