ぼくの妻は、女医

フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ

ぼくの妻は女医 ~フルタイム医師夫婦による、4児の子育てカルテ~

体力の限界。気力も無くなった

土曜日は、妻が学会発表だったので、

朝から妻に頼まれたシャツのアイロンをかけ、

妻を見送った後は

息子を抱えながら娘を習い事に連れていき、

帰りには娘にねだられたアイスを買い与え、

一旦帰宅し昼ごはんを食べさせ、息子のオムツを替え、

午後はお稽古に連れていき、

夜は風呂に入れ、食事を食べさせ、寝かしつけた。

妻はご機嫌な様子で23時頃、帰宅した。

 

夜中は息子の調子がどうも良くなかったので、

寝ている妻を起こさぬよう、

夜通しあやし続けた。

どうも、喘息っぽい…。

 

日曜日は、朝から法事だったので、

車を出し、亡き祖母に再会してきた。

車の中では妻はくつろいだ様子だ。

喘息疑いの息子の為、

空気清浄機を買おうと決意したが、

妻の希望で、遠方の家電量販店まで車を走らせた。

 

なんだか、このあたりで、

自分の限界を感じ始めていた。

疲労で、思考能力が明らかに落ちている。

別件で上手く行かないことが重なったのも

おそらく影響していると思う。

間違いなく自分から笑顔が無くなっている。

赤信号で車を止めた瞬間、一瞬意識が飛んで焦る。

 

日曜日の夜も、息子の様子は思わしくなかった。

夜通し咳き込んでおり、

ミルクも咳き込みながら全て吐いた。

風呂場に連れていき、ミルクまみれの息子を洗う。

あやせどあやせど、泣き止まぬ。

時間は夜中の3時。

もうすでに、1時間以上、

咳き込みながら泣いている。

 

そして妻は、寝ている。

 

なんで?

なんだか、情けなくなってきた。

これだけ息子の調子が悪くても妻は起きない。

虚しくもなってくる。

今まで感じなかった怒りまで湧いてくる。

 

「おい!」

と言って、妻の足に蹴りを入れた。

妻「なに!?」

僕「診察券を出せ」

妻「診察券出すだけならやってやる」

妻も頑なに協力しようとしない。

 

体力の限界。気力も無くなった。

最後に妻にひどい言葉を一言かけた。

真っ暗の寝室で、自然とホロリ涙がこぼれ、

あれ?抑うつ状態になっている…と気づいた。

 

結局、サルブタモールを吸入させて、

息子は少しだけ落ち着いたので、

その日は受診させなかった。

 

翌朝、妻は娘を連れて出勤。

ベッドから起き上がれない僕と、息子が取り残される。

息子は夜中の出来事が無かったかのように

げっそりした僕を見つめて、ニコッと笑った。

天使。

 

リッツ・カールトン東京の一室から

リッツ・カールトン東京の一室から

 

今までの経験から言えるのは、

妻の行動には理由が伴っている、という事だ。

たぶん、ここまで頑なに協力しないのは、

「私だって、あなたが当直で不在の時はワンオペしている」

といった様な思いがあるのだと思う。

 

もちろん、僕には僕で、

経済的な工面はこちらがしてるんだから

家事の割合は調整してくれよという思いはあるが、

そもそも、妻と僕では能力に差があるのだ。

妻のほうが優秀なのだ。

 

ここ数日の、

それこそ心を失うほどの忙しさに、

疲労困憊。